彼氏も仕事中のはずだ。
出る訳がない。
頭では分かっているのに、何度も何度も電話をかけた。
ひとりぼっちなのが、とにかく不安だった。
昼の1時すぎ。
彼氏から着信があった。
電話のむこうは、お昼休みなのか騒がしかった。
私は泣いていて、なにも言えなかった。
彼氏は「話せるようになるまで待ってるから」って言って泣いてるだけの私の電話を切らずに、ずっと待っててくれた。
でも、それでも話すことが出来なかった。
「ごめんなさい…」
私がこう言ったのが、彼氏にちゃんと伝わったかは分からない。
その日の夜、作業着のまま彼氏がうちにきた。
「すぐ来てやれんでごめんな」
私の頭を撫でながら、彼氏がそう言った。
「あたし、子供産めんて、そうゆう病気なんだって」
彼氏はポカンとしてた。
こいつ何言うてるん?って顔してた。
「何言うてるん?」
「分からん」
「分からん訳ないやろが」
「先生がそう言うた。あたしも信じられんもん」
「…まじかよ」
彼氏はそう言ったままなにも言わんかった。
別れることは覚悟してた。