それから数年後、嫁は俺と結婚。
俺は独身歴が長いので身の回りのことはできる。独男スキルだから雑ではあるが、ほっといても生きていける。
嫁はそれを物凄く素晴らしいことのように誉めちぎる。
事あるごとに「あなたは凄い」
「何でもできる」
「自立してる」
「大人だ」
「結婚して良かった」
俺が土曜昼にレトルトカレーをあっためてるだけで驚愕する。
だがその反面「本当に私、何もしなくていいの?」と連発する。
俺が明日持って行くものを揃えたり、脱ぎ散らした服を拾ったりしなくていいんでたまに不安になると言う。
どうも嫁父も、兄ほどひどくないが同じタイプだったらしい。
そんな父と兄を30年間見てきたせいで、一人でそこそこやれる俺が聖人に見えると言う。
そして「兄に責められる夢をよく見る」と嫁。
「俺(兄)にしたように、どうして旦那にしてやれないんだ!」と兄が夢で責めるらしい。
だからあまり眠りたくないと嫁は言う。
「お前はもうお世話係しなくていいんだ」となんとかうまい言葉で言って安心させてやりたい。